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「X-MEN ダーク・フェニックス」(映画)感想 ~X-MEN20年の完結を背負ったソフィー・ターナーを称えたい【おすすめ度:★★(+★)】

20世紀フォックスがディズニーに買収されるという、映画業界史上最大級のニュース。

見え隠れする“大人の事情”に振り回されたシリーズの“完結編”は、長きに渡るシリーズにおいて「何をみてきたか」「どの時代に思い入れがあるか」によって、相当評価が分かれる作品となりました。

 

★X-MEN ダーク・フェニックス

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監督:サイモン・キンバーグ

キャスト:ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルト、ソフィー・ターナー、タイ・シェリダン

 

◆予告編◆

www.youtube.com

 

◆あらすじ◆

大統領とのパイプラインもしかれ、その活躍ぶりから“スーパーヒーロー”とさえ呼ばれるようになり、もはやかつての迫害の気配は消え去ったかと思われたX-MEN。

しかし、とある宇宙での飛行士救出ミッションで一人逃げ遅れたジーン・グレイは太陽フレアを浴び意識を失ってしまう。

無事地球へと戻ったジーンとX-MENたちだったが、その事故のせいでジーンの心の闇の中に眠っていたもう一人の人格「ダーク・フェニックス」が覚醒してしまい…。

 

◆感想(軽いネタバレあり)◆

冒頭でも述べた通り、とにかく「X-MENに何を見出していたか」によって、相当評価が分かれるであろう作品。

大前提として、シリーズであるはずの前作、前々作などとの整合性は破綻しているので(これはもうこのシリーズのお決まりになりつつありますね)そこが気になってしまう方はおそらく全然受け入れられないのではないでしょうか。

正直、他にも細かくマイナス点をあげていけばキリがありません。

キャラクターの一貫性が失われていたり、そもそも動かし方が脚本上の装置的な扱いになっているキャラクターがいたり。

極めつけは「大団円になっていない」こと。

ただこればかりは、ディズニーによる買収によってアベンジャーズ本体への合流をさせる必要があるために現行シリーズを打ち切らなければいけなかったという超絶大人の事情もあるはずで、現行シリーズの制作陣に文句を言ってもしょうがない部分も多少あるのではないかと思っています。

買収前から完結編の想定だったのか、買収後の決定なのかはわかりませんが、本作がなんともいびつで評価しにくい作品になってしまったのは認めざるをえません。

 

それでも私が本作を擁護したいのは、この新世代キャストによるシリーズが、アメコミ映画というジャンルにおいてここまで「演技力」で魅せるシリーズとなったこと、そしてそのキャストたちがシリーズを重ねるごとに成長し、力をつけ、ブレイクしていく姿に物凄く魅力を感じてしまっているから。

そして、虐げられ拒絶されてきたものの苦しみと許しというジーン・グレイが本作で体現する物語は、まさにX-MENシリーズが描き続けてきた物語の根幹であり、それを若手女優ソフィー・ターナーに委ねた姿勢にもまた、物凄く魅力を感じています。

 

思えば、新世代キャストで始まった「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」は紛れもない傑作でした。

 

1962年のキューバ危機という歴史的事実を背景に、その裏にはミュータントたちの抗争が巻き起こっていたとする脚本構築のあまりの上手さに舌を巻き、そしてジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルトという若手キャストのミラクルなケミストリーに、「X-MEN、やるなあ」と思ったものです。

チャールズ・エグゼビアとエリック・レーンシャー、根本は同じでありながらも、「どうあるべきか」において意見を異にし、道を違えていく在りし日の兄弟のような男2人の友情と別離を、あそこまで鮮明に描いた作品はなかなか他に思い浮かびません。

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しかし「~フューチャー&パスト」「~アポカリプス」と、個人的には「~ファースト・ジェネレーション」を(全く)超えられない作品が続き若干トーンダウンする中で、それでも本シリーズを見逃すことができない大きな理由は役者たちの成長と飛躍でした。

円熟味を増してオリジナルシリーズのパトリック・スチュワートとイアン・マッケランに近づいていくジェームズ・マカヴォイとマイケル・ファスベンダー、そしてオリジナルシリーズとは違うキャラ造形ながら有無を言わせぬ説得力をみせるジェニファー・ローレンス。

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さらにタイ・シェリダン、コディ・スミット=マクフィー、そしてソフィー・ターナーという、「オリジナルシリーズの人気キャラの若かりし頃」として登場した3人もまた、その面影も持ち合わせつつフレッシュで彼らなりのスコット・サマーズ、カート・ワグナー、ジーン・グレイを作り上げていたと思います。

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だからこそ、その中でソフィー・ターナーにここまでフォーカスしてシリーズ約20年の集大成をゆだねたサイモン・キンバーグの決断と、それに答えたソフィー・ターナーの渾身の演技にはぐさぐさ心を揺さぶられました。

「ゲーム・オブ・スローンズ」でずっとソフィーを見ている身としては、ほんと演技上手くなったな…と感嘆せずにはいられません。

あの美貌とあの貫禄は女優として掴みとった武器であり、それをジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、そしてジェシカ・チャステインと並んでも引けを取らない存在感として臆せず出し切る姿には本当に涙が出そう。

本作はオリジナルシリーズでジーンを演じたファムケ・ヤンセンが持つ雰囲気では成立しない物語で、ソフィー・ターナーが演じるジーン・グレイだからこその説得力がありました。

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ただ、物語がジーン・グレイに寄せきった事で、「物理的なX-MEN全体の闘い」を求めていた大多数の人の見たかったものにはなっていないのだろうし、整合性をとらずにきたシリーズ全体のつけが最後の最後に最も大きく出てしまったという事は事実。

なので、世間が本作を酷評する気持ちもわかるし、事実脚本としてはもうちょっとどうにかならなかったのかね?という点もいっぱい指摘したい。

ただ、それでも嫌いになれない、そっと包み込んであげたい作品です。

 

全体的にアクションはかなり良かったなあ。

特にクライマックスの列車での一大バトルシーン。

磁力を操るマグニートーが魅せる無双っぷり、X-MEN同士の連携プレー、「走る列車の中」というダイナミックで躍動感ある舞台設定も活きていて、アクションが地味目な本シリーズにおいてはなかなかに見応えのあるシークエンスでした。

 

今後またキャストを刷新してアベンジャーズ本体へ吸収されていくのであろうX-MEN。

いびつな纏め方ではありましたが、X-MENの約20年間で描いてきたテーマを「ジーン・グレイを描くこと」を通して貫ききった初志貫徹ぶり、好きですよ、私は。

 

「X-MEN ダーク・フェニックス」は全国公開中。

 

※画像は全てimdbより引用