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「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」感想 ~世界で一番スケールの大きな「好きを仕事に」【おすすめ度:★★★】

「名探偵ピカチュウ」に続き、「好きを仕事に」をとんでもないスケールで実行してしまうハリウッドの次なる一作。

 

★ゴジラ キング・オブ・モンスターズ

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監督:マイケル・ドハティ

キャスト:カイル・チャンドラー、ヴェラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、チャールズ・ダンス、渡辺謙、チャン・ツィ― 

 

◆予告編◆

 

◆あらすじ◆

2014年の襲撃から5年、怪獣を極秘に調査していた秘密組織モナークは、世間からの追及・非難を受けていた。

そんな中、中国・雲南省の基地で怪獣たちとの交信装置“オルカ”を完成させたエマとその娘のマディソンらは、モスラの幼虫との交信に成功。

しかしそこにアラン・ジョナ率いる環境テロリスト集団が襲撃し、エマ、マディソンを拉致、オルカも奪われてしまう。

モナークの芹沢博士らは、元社員でエマの元夫、そしてオルカの試作機開発者であったマークのもとを訪ね、協力を依頼する。

嫌がるマークだったが、アランらの次なる急襲を受け、モナークに舞い戻ることに…。

 

◆感想(途中までネタバレありません)◆

※ゴジラや怪獣映画自体については詳しくないのであしからず。

 

昨今のハリウッド映画の「好きを仕事に」「好きこそものの上手なれ」な風潮。

それは一つに原作やオリジナルのある作品のリメイク・リイマジネーションの増加と、もう一つ、VFXの凄さで押し切れる時代を過ぎて「何を付与できるか」という点が差別化する上での重要な要素となったことで、作品への愛情・執念・思い入れの濃度が大切になってきたことがあるのかもしれません。

 

デジタル化によって映像制作の裾野が広がったことで、日本でも映画の製作本数はどんどん増えています。

さらにはNETFLIXなど配信で観る映画も増え、映画館で映画を観るべき理由がどんどん薄れてしまっている中、よりスポーツ中継や音楽フェスイベントなどのような「同じ時、同じ場所で熱量を共有する」ことの重要度があがり、その中心に位置するコンテンツとして「クオリティが高い」以上に「熱量が高い」ことが求められているのではないでしょうか。

 

あとはSNSのマーケティングプロモーションが大事な時代だからかな。

公式が発信を繰り返すのではなく、公式のコンテンツの中に宿る熱量やフックにファンが反応してその反応が波及していくことがヒットに繋がる時代。

「バーフバリ」とか最たるものですよね。

 

ここら辺は話すと長いので割愛しますが、最近だと「キングコング 髑髏島の巨神」のジョーダン・ヴォート・ロバーツ監督「名探偵ピカチュウ」のロブ・レターマン監督なんかが、好きで好きでしょうがない!という熱量が実績の有無を超えて評価され、起用された実例。

 

これは巨匠の作品ですが、「アリータ バトル・エンジェル」もジェームズ・キャメロン監督の20年越しの溢れんばかりの愛情がこれでもかと炸裂していましたね。

 

不思議なことに、作品の中に宿る制作者の「好き」という熱量は何よりも観客に伝わるんですよね。

そして鑑賞者側がうけとる「この作品を作っているのは、俺たちの仲間だ」「きっと幼い頃、自分と同じような夢想をしていたんだろうな」というような感覚は、作品を鑑賞する時間を「友達の夢を応援する時間」のような感覚に近づけてくれるのかもしれません。

 

本作のマイケル・ドハティ監督も、脚本家として「X-MEN アポカリプス」に参加している実績などはありますが、監督作品としての実績は微々たるもので、本当によく起用したなあと最初は思っていました。

ですが、インタビューなどを読むとそのゴジラ愛の深さに不思議と安心感が。

 

今回特に感じた「ゴジラ=神である」というメッセージとコンセプトは、監督が幼少期にテレビで「ゴジラ」を見た時から持っている原体験的な感覚が明確に反映されているんですよね。

アメリカでのゴジラ第1作公開時のタイトルがそもそも「Godzilla:King of the Monsters」であり、ゴジラは「God-zilla」であり、そこは予告編でもしっかりと拾われていましたね。

その「ゴジラ=神である」というコンセプトは、全編が浴びる宗教画のように、完璧に作りこまれた構図や色彩美として美しく荘厳に表現されています。

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※ゴジラはもちろん、美しく流麗なモスラ、悪魔的な飛行法をみせるラドン、西洋のドラゴンではなく東洋の龍をモチーフとしたキングギドラなど、登場する怪獣たちのデザインと造形がとにかく素晴らしく、「地球を人間から怪獣に返そう」というある人の言い分に恐ろしく説得力があった。

 

物語上その敬意がもっとも明確なのは、渡辺謙演じる芹沢博士の行動と言動でしょうか。

 

※ここからちょっとネタバレ有り※

 

ゴジラを安易に殺そうとする者たちに向ける目。

ゴジラとの共存を望む想い。

ゴジラを復活させるべく自らの命を懸けようとする姿。

 

深い海の底の古代都市に独り残り、眠るゴジラへと核を浴びせて呼び覚ます場面。

あのシーンは、ギャレス・エドワーズ監督の前作のみならず、これまでの様々なゴジラの映画化に対してきっと完全にはアグリーでないであろうマイケル・ドハティ監督自らの想いと夢が詰まった場面であり、核という人類の罪を背負いながら「神が復活する」様を描かんとする場面として、涙を禁じ得ない…。

それを、猪四郎という名前を関されたキャラクターが達成する、それを日本人俳優である渡辺謙に託すというあたり、監督のリスペクトが詰まっています。

 

 

そんなわけで、「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は監督のゴジラへの畏敬と愛情により、怪獣映画でありながら宗教映画となっていて、素晴らしいカットの数々によりなんだか絵画を眺めているような感覚になっているためだいぶ隠されていますが、人間側のストーリーと編集は正直かなり粗い(笑。

 

ですが、拉致されたと思っていたら、元から怪獣への殉教精神を貫いていたエマ博士の、浅はかながら説得力のある「地球を人間から怪獣に返そう」という考え、そしてそれを演じるのがヴェラ・ファーミガなのは最高。

彼女の、業の深さを感じさせる演技ってなかなか他にはいない魅力です。

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娘役ミリー・ボビー・ブラウンもよかった。

そして、このブログ的には外せないチャールズ・ダンス

「ゲーム・オブ・スローンズ」のタイウィン・ラニスターですね。

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70代にしてあのスタイリッシュさ、そして溢れ出る貫禄と貴品。

タイウィンよろしくな傲慢さ、そして怪獣たちにも負けないほどの顔力。

ラストの展開的に、続編にも出演確定な感じでこれまた楽しみです。

 

怪獣映画に詳しくない私がその愛情と熱量に歓喜するって不思議なことかもしれませんが、映画はあらゆるクリエイティビティの集合体だと思うと、その根底にある愛情や熱量までがクリエイティビティを通して感じ取れることに刺激を受けているのかもしれません。

 

「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」は全国公開中。

 

※画像はすべてimdbより引用