Everything is Illuminated

面白かった映画と海外ドラマの感想を気ままに綴るブログです。海外のイケオジ俳優が好きです。

「ゲーム・オブ・スローンズ」(海外ドラマ)最終回に向けて ~巧妙に霞まされてきた女王の狂気

光栄なことに、GOTファイナルナイトに当選しました!

最終回をスクリーンで観れるという貴重な機会、今からドキドキが止まりません。

 

さて「ゲーム・オブ・スローンズ」も遂に来週完結。

前回第5話で、世界中を奈落の底に落とすほどの衝撃の展開がありました。

 

※ここからネタバレあります※

 

デナーリスが降伏後の王都をドラゴンの炎で焼き尽くし、レッドキープを陥落させるというあまりに凄惨な地獄絵図に世界中が悲鳴をあげました。

私は彼女の危険性については「要所要所で描かれていた」と感じていて、唖然とはしながらもこうなるのも致し方ない、という納得感のある闇堕ちだと思っているのですが、SNSでの感想や各リアクション動画などを見るにつけ、そうでもないんだなあという印象。

そんな視聴者からの否定的意見さえ見越した展開を作り出す原作者・制作陣ですが、丁寧に積み上げられてきたデナーリスの闇堕ちまでについて、考えた事をまとめておきたいと思います。

 

◆圧倒的な物語の魅力が、狂気を巧妙に霞ませる

デナーリスが、事あるごとに「跪け」「さもなくば、焼き払え」と言って常にドラゴン(&兵力)という暴力によって物事を解決してきたのは自明のこと。

黒魔術師を、親方たちを、サムの父と弟であるターリー家の2人を、そして遂には臣下であったヴァリスをも。

しかし、その事実から読み取れるデナーリスの危険性や狂気は、何重にも積み重ねられた彼女のエピソードによって巧妙に霞まされ、その実態を多くの人が見過ごす、もしくは気づいても余りある魅力に抗えないという状況を作りだしてきました。

プラチナブロンドをなびかせる若く美しい白人の女性。

幼い頃に追いやられるようにして故郷を去り、兄に売り飛ばされながらも、政略結婚の相手と相思相愛の関係を築き這い上がってきた。

燃え盛る炎の中を一人生き延び、幻のドラゴンを蘇らせた。

ドラゴンに騎乗して自由に空を飛び回り、奴隷解放に成功した。

かつての裏切りを許しジョラーの忠心を受け入れ、奴隷であったミッサンディを解放して親友然となり、王都から逃げてきたティリオンを受け入れ女王の手に任命した。

これらはデナーリスというキャラクタ―が辿ってきた物語の持つ魅力であり、彼女を印象付けるエピソードとして本編の中でも大きな盛り上がりポイントとなり、彼女が王座へと近づいていく度にカタルシスを醸し出していました。 

そのカタルシスは、垣間見える彼女の狂気を霞ませるには十分すぎるほど。

制作陣もS6あたりまでは巧妙にそのステータスを維持してきていましたが、この結末に向けて撒いてきた種に水をやるかのようにS7で「(あろうことかシリーズ1視聴者に嫌われていなそうな)サムの父と弟であるランディル&ディコン・ターリーの処刑」というエピソードを入れてきました。

このあたり、とても上手いなあと思っています。

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◆デナーリスはジョラーの贈り物の書物を読んだのか?

個人的には、イアン・グレンがジョラーを演じたことこそが、彼が“命を捧げるほど愛した人”としてデナーリスにポジティブフィルターをかける事に成功した一番の要因だったように思います。

(ここからはジョラー好きとしての贔屓目をお許しください)

S7E3のウィンターフェルでの戦いで彼がデナーリスを守って死んだ時、そのフィルターは最大級に威力を発揮しました。

そもそも、ジョラーにとってデナーリスを守って死ぬなんてことは本望だったはず。

この「ゲーム・オブ・スローンズ」の中で、こうしてある意味幸せすぎる最期を遂げたキャラクターはジョラー以外にあまり思いつきません。

そんなジョラーの最期への、類を見ない制作陣からの優遇ぶり、今思えばこれもまたデナーリスに対するフィルターを際立たせるためだったのかもしれません。

「彼の死を無駄にしないで」という願いのような想いはしかし、翌週のE4で早々に「ジョラーの死がデナーリスの孤独と暴走を深める」という形で打ち砕かれましたが。

 

さて、それでもデナーリスはジョラーについて「彼が望むようには愛せなかった」と言いました。

結局、彼の想いは一方通行なんですが、「愛せなかった」のは別に構わないんです。

何よりも辛いなあと思ったのは、ジョラーが為政者としてのデナーリスを信じてかけてきた言葉やアドバイス、行動が彼女の根っこを変えられなかったこと。

ジョラーは初めて登場したデナーリスとドロゴとの結婚の儀の際、七王国の歴史について書かれた書物をデナーリスに贈っています。

しかしあれから今に至るまで、彼女があの書物に目を通した場面は一切描写されていません。

あの書物にどこまでのことが書かれていたかはわかりませんが、ウェスタロスの土地と民と歴史を理解しようという心はデナーリスには微塵もなかったのでしょう。

あの書物に彼女の父であり狂王と呼ばれたエイリスの事が記載されていたかはわかりませんが、もし彼女が一族がウェスタロスでどのような事をしでかしたのかを正しく把握していたら、まるで同じ道を辿るかのようなあの愚行に至っていたでしょうか。

ジョラーの贈った書物ではなく、イリリオが贈った3つのドラゴンの卵に執心していたあの時から、デナーリスの心の向きはある意味示されていたのかもしれません…。

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◆合わせ鏡のような悪役たち:ナイトキングとサーセイ

今となっては「一番の人気キャラがラスボスだった」という予想だにしない展開になってしまっているわけですが、ここに至るまで悪役とされていたのは「ナイトキング」と「サーセイ」です。

ゾンビ化したドラゴンと、死を恐れることなく増え続けるホワイトウォーカー&ワイトという兵力を従えて、超えようのないハードルであったはずの壁をものともせずに打ち砕いてウェスタロス大陸を南へと侵略してきたナイトキング(元ターガリエン家の人間)。

ドラゴンと、アンサリード、セカンドサンズ(今回は来てないけど)、ドスラクと続々と増していく兵力を従えて、絶対に超えてはこないと思われていたナローシ―を超えてウェスタロス大陸に上陸してきたデナーリス・ターガリエン。

同じように侵略者然としたデナーリスの行動は、ナイトキングのインパクトの元にこれもまた巧妙に霞まされていました。

そして、冷徹な父の元で抑圧されて育ち、双子の弟との間に出来た3人の子供を失いながら、悲しみ、諦め、達観の先に女王となったサーセイ。

エッソスへと追いやられ、そこで得た3匹のドラゴンという子供を徐々に失いながら、自身の女王としての正当性と運命を根拠に女王となったデナーリス。

これもまた、合わせ鏡のような存在。

こうして、デナーリスと同様に無敵さを感じさせていたナイトキング、デナーリスと同様に魅力的な物語を経て女王となったサーセイ。

彼女の魅力を二分したかのような悪役2人の存在によって、“悪役(とはちょっと違う気もするけど)”としてのデナーリスの一面はこのふたりが退場する段階まで綺麗にカバーされていました。

ふたりが立て続けに倒れた今、予告編に映るデナーリスの後ろ姿には、恐怖が満ちています。

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S2E10で黒魔術師によって見せられた、崩壊し灰が舞い散る王都のビジョン。

あの時点からデナーリスが王都を焼き払う展開は決まっていた事を考えると、ここまで積み重ねられてきたものは全てあの瞬間のためにあったのだと思います。

原作者ジョージ・R・R・マーティンは、「読者にショックを与えたい」的なコメントをしているぐらいですし。

その試みは、大成功と言えるでしょう。

 

【追記】

それでも私は、デナーリスっていうキャラクタ―が大好きです。

FUNKO POPのドロゴン付きデナーリス持ってるくらい。

↓これね。これ↓ 

 

ソフィー・ターナーやメイジー・ウィリアムスもそうだけど、当時演劇学校を卒業したばっかりでほぼ無名のエミリア・クラークをこんな大役に抜擢したHBOにも、その期待に十二分に答えた彼女にも拍手を送りたい。

 

泣いても笑っても来週最終回。

 

 (ブロンはどこいった!)

 

↓↓シーズン8<最終章>各話感想↓ ↓

 

※画像は全てimdbより引用