Everything is Illuminated

面白かった映画と海外ドラマの感想を気ままに綴るブログです。

「ゲーム・オブ・スローンズ」(海外ドラマ)振り返り【シーズン6】 ~あらゆるキャラに物語があり、そして一人づつ終わりを迎えていく

先日の応援上映に参加できなかったのが悔やまれるくらい、改めて観ると第9話、第10話の演出の凄まじさが際立つシーズン6。

シーズン3や4のようなうねるようなドラマ性は少し弱いかもしれませんが、主要格以外のキャラクターに振られたドラマティックな展開で、この世界の多層性が際立つシーズン6の感想です。

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【各陣営のあらすじと感想(ネタバレあり)】

 

◆ジョンの復活と挫折を乗り越えるメリサンドル。サンサとの再会がもたらす不協和音

放送当時、シーズン5ラストでのメッタ刺しから1年を経てのジョンの復活はシーズン6の話題の中心でした。

復活することはほぼ既定路線だったので、当時は「まあ復活するでしょ」ぐらいで大した驚きはなかったのですが、今改めてみるとメリサンドルに目が行ってしまう。

スタニスが敗北し、責め立てられても毅然としているように見えたメリサンドルが、実はその力の限界や自身の犯した間違いにより自信喪失状態だったんだなと今更気づきました(あの“本当の姿”は衝撃的すぎ)。

ジョン復活に尽力したメリサンドル。挫折を乗り越え、ある意味本シリーズにとって非常に大きな成果を残したわけですが、それも束の間シリーン姫の火あぶりがダヴォスにバレて城を追い出されます。

初見時は完全ダヴォス派でしたが、人生の長い時間かけて信じて付き添ってきて人殺しまでしてきたその人が「間違いだった」と認めざるを得ない状況での大きすぎる挫折感、自信喪失を考えてしまうと彼女を切り捨てることも出来ず。

メリサンドルには、最終章で良い“償い”としての見せ場があると良いなあ。

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サンサとジョンの再会は、シーズン6では良い結果をもたらしますが、最終章にかけての大きな火種の一つになるはず。

本作の中で一番“変わらない”ジョンと、一番“変わった”サンサ

サーセイに学び、マージェリーに学び、ベイリッシュに学んだサンサが、幼い頃のような添え物的な立場で満足するわけなどなく、いつまでも自分を「妹」としてしか見ず、助言を求めてくれないジョンが北の王に鎮座する様にどこまで耐えられるかなと。

 

そんなサンサは、ベイリッシュとの同盟的関係は継続しつつ、その状況を乗りこなせるようになってきているのが見もの。

ベイリッシュは「自分が鉄の玉座に座り、横には貴方が」と思い描いているけれど、サンサは彼が自身へ向ける歪んだ愛情・欲望を、彼が持つ情報を、彼が持つ兵を、そして彼が持つ権謀術を“使いこなす”ことを徐々に体得していくんですよね。

ベイリッシュは、兵を提供することでサンサが獲得する“勝利への貢献”が北部総督への布石になることを見越して挙兵していると思いますが、おそらくサンサはベイリッシュがそう考えるであろう事さえ見越してベイリッシュに挙兵を依頼する手紙を送ったのでしょう。

アイリ―兵がボルトン兵を蹴散らす様を観るベイリッシュとサンサの不敵な笑みには、純粋な「スターク兵を助けたい」ではない何かが見え隠れしているように感じます。

サンサは直接見ていないけれど、予想した通りジョンはその弱みに付け込まれて失敗を誘引され、リコンはラムジーに殺され、だからこそ「私たちが必要になる」、すべて見通し通り。

しかし相手を知り尽くした自分がいてこその勝利でありながら、“男”であるジョンへの賛辞には勝てないという事実を突きつけられるラスト。

「それで貴方はよいのですか?」とでも問いかけるようなベイリッシュからサンサへの視線が、サンサの中にじわじわと広がっていく様が、次シーズン、そして最終章で花開くのを期待しています。

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◆ジェイミーとブライエニーの、この世界に唯一無二の信頼関係

ジェイミーはとにかく、このシリーズの中で実は結構まともな人だと思っています。

序盤こそブランを突き落としたり悪役ぽい一面が際立っていたけれど、サーセイが「弟と寝るもの快楽の為」と言い放ったその時でさえもサーセイだけを愛し、彼女の元に帰るためだけに戦うと言ってのけるそのまっすぐぶり。

だからある意味、主君に忠実に従い、キャトリンとの約束を守ってサンサを見つけ出しその護衛として取り立てもらうまでにたどり着いた執念の騎士ブライエニーとは似たもの同士なのかもしれません。

唯一、“キングスレイヤー”と罵られる自身の過去の出来事の真相を話した相手であり、信頼に足る人物であるブライエニーと対立せざるを得ない状況で、彼女の願いを聞き入れ「無血開城」のために奔走するジェイミー。

そして、小船で城から脱出していくブライエニーを見送るジェイミー。

この人には最終章で、サーセイへの愛という幻想を打ち破って再び“キングスレイヤー”となる展開が待っているはずと確信しています。

頑張れジェイミー!

きっと彼の中の良心をつつくことの出来るブライエニーが、後押ししてくれるはず。

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◆三つ目の鴉を継ぐブランの人生と、ホーダーの運命を決定づけた瞬間

このシーズンで一番の泣き所であり、そしてシーズン最終章に大きく関与するであろうヒントが沢山散りばめられているシークエンス。

三つ目の鴉と出会い、過去へ潜り父ネッドの姿を追うブラン。

そこには、今傍にいるホーダーことウィリスの幼い姿や、ミーラの父の姿もあります。

森の子らがホワイトウォーカーを作ったという事実と、その世界で夜の王に見つかってしまうブラン。

なぜ夜の王はブランを追いかけるのか?

そしてなぜ、三つ目の鴉はブランを執拗に誘導しここまで導いたのか?

それはブランの能力が夜の王やホワイトウォーカーとの対決に大いに作用するという未来があっての事でしょう。

でも、これまでその能力でブランが見てきたのは“過去”であり、その力が過去に作用を及ぼす事も知ってしまった事を考えると、“過去で何かしらの作用をおこす事で未来を作る”形で、最終章での対夜の王戦で何かしら大きな貢献をするのではと思います。

どこかで書いた気もしますが、彼の本名は壁を建造した先祖である“ブランドン建設王”と同じですからね。。

 

そんな“過去を作る”力を見せるのに、こんな表現を使うのか…⁉と絶望と驚愕で気づいたら涙が流れていたホーダーのラスト。

ホワイトウォーカーたちをせきとめるホーダーの姿と、痙攣しながら「Hold the door!」と叫び続ける過去のウィリスの姿に、「ここまで物語を汲み上げた上でその役名なの⁉」という脚本とキャラ設計の凄さに唸り、「Hold the door!」が「ホーダー」になっていく演出に絶句し、初見時は過去と現在の作用関係が整理しきれなくてただただホーダーが雪の中に遠くなっていく様を見届けるしかありませんでした。

凄すぎる。

ホーダーという脇役にもここまでの物語があり、それらが折り重なって主要格キャラの人生が、そして「ゲーム・オブ・スローンズ」という物語が出来上がっているという事を改めて気づかせてくれる、素晴らしいシークエンスでした。

 

その後ブランを救うベンジェン叔父さんの「半ホワイトウォーカー」設定、そして「壁には魔法がかかっておりホワイトウォーカーは通れない」設定もこの後効いてくるので要チェック。

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◆鉄諸島の出来る女ヤーラと、女王が統治する国々 

ベイロン死亡により鉄諸島の王位をかけた争いが勃発。

ヤーラ一択かと思いきや、そこに突如現れる諸国を放浪していたベイロンの弟・ユーロン。

選挙?に敗れたヤーラ達がユーロンを出しぬいて向かった先は、ユーロンも狙っていた“ドラゴンの女王”デナーリスのいるミーリーン。

男も女もイケる人で、しかも“女であること”を手段として使わない格好よさ、そしてその事自体も手段とする潔さをもつヤーラは、デナーリスから見てもやっぱり“いい女”だったんだろうなあ。同じ“女王”だしね。

第9話で魅せる怪しい視線のやりとり、そして不思議な握手を交わす2人。

まあ本筋にはあまり絡まないのでそこを掘り下げられないのでしょうが、ヤーラの格好良さはなんとなく本編の中で持て余してるというか、もっと活かせた気がしてちょっともったいないなあと思っています。

シーズン6で改めて振り返ると、結構な数の国で女王が統治する状況。

ドーンでは、あまりの無風ぶりに堪忍袋の緒が切れたエラリアが大公ドーランを暗殺して頂点に君臨。

キングスランディングではサーセイが、その下にフレイやタリ―などの男王諸国を従えて君臨。

マーテルではオレナが、そしてミーリーンではデナーリスが。

その一つである鉄諸島は全体的な扱いとしても小さいので、最後にシオンの成長と共にここぞという見せ場があるといいなあ。

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◆神話化していくデナーリスとドラゴン。イケオジ家臣たちの悲喜こもごも

初見で見たときは「またドスラク戻るんかい」と思ったシーズン6でのデナーリス。

海を渡りウェスタロスで戦うのにもっと戦力が必要ゆえの脚本上の展開なのでしょうが、それもありつつ女王不在でミーリーンを統治するティリオンの存在感・発言力をあげるためにも必要な展開だったのかもしれません。

実際、家焼いて自分だけ生きて出てくる事で圧倒してドスラクを掌握するというデナーリスのやり方は、既視感はありつつも自身の持てるカードをよく理解した戦略PRだなと感心してしまいます(笑)

 

どちらかというと、そんな女王を救出しにやってきたジョラーとダーリオ、似た者同士の珍道中とその後の明暗の分かれ方が面白い。

ジョラーに対し、自分の老後の姿だとか、女王は夜激しいからお前じゃ無理だとか言って対抗心とそこはかとない親近感を見せるダーリオの可愛らしいこと。

そんなダーリオだからこそ、ラストでミーリーンに置いて行かれる姿はただただ本当に捨てられた子犬のようで可哀そう。。。

弱みになるというティリオンの指摘は間違いではありませんが、シーズン7での展開を知っている故、お役御免感がまた二重に哀しいな。。。

 

一方で灰鱗病を告白し、治療法を探すために別れる事になったジョラー。

何度も復帰を断られながらもこの場に戻ってきたジョラーに対しての方が、ダーリオに対してよりも気持ち的な愛情は大きいんじゃないかと思うデナーリス。

「私のもとに戻りなさい」というその指令に、愛情の深さを感じます。

しかも、これが最後とばかりに思ったジョラーさん「愛しています」と本音暴露。

素直で良い。

 

そんな忠実な家臣たちに支えられてきたデナーリス。

彼らの意見は聞きつつも、基本的には自分の考えを貫く狂王ギリギリのスタイルが危なっかしくもやはり格好いい。

正直「ゲースロはデナーリスを優遇しすぎ」と思う瞬間も多々ありますが、本シーズン第9話で魅せるドラゴンの舞いとその無双ぶりを見るにつけ、やっぱりゲーム・オブ・スローンズを神話たらしめるに必要な存在であり演出だという事を実感しました。

とにかく第9話、船上を舞うドラゴンの姿は美しく、恐ろしく、荘厳。

そして、そんな状況さえも操る存在として若き女王が君臨するという構図ほど、アドレナリンが出るものはないですよね。

果たして、上手く恐怖政治を脱して折り合いをつけた統治ができるようになるのか?

 

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◆戦略の天才ラムジーは、果たしてどこで見誤ったのか?

ジョフリーが天然型の鬼畜だったのに対し、ラムジーは天才型の鬼畜。

敵といえども、手段を択ばない戦略家ぶりには認めざるを得ない才能がありました。

父ルースが「お前が長男だ」という言葉を発した瞬間の刺殺、妻ウォルダと嫡男の殺害。

捕まえたリコンも、ただ殺すのではなくジョンの失敗を引き寄せる手段として利用。

そして築かれる、敵も味方も区別なしの死体の山とボルトン兵に追い詰められていくジョンたち。

ここまでは完璧と言ってよいほどの素晴らしい戦略でした。

ただ彼は、サンサがベイリッシュを“切り札”として持っていたこと、そうした駒を使いこなす事をサンサが体得していたことにだけは目がいかなかった。

恐らく、男ばかりの家で女を快楽の道具としてしか見てこなかったこと、嫡男こそが力を持つ世界に執着し続けた事が、その定義を逸脱する才能を身に着けたサンサの真の力を見誤らせたのでしょう。

彼を犬に喰わせるサンサの不敵な微笑みは、恐ろしくも、視聴者が彼に対して抱いてきた憎悪を精算するにたる素晴らしい表情だったと思います。

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◆吹き飛ぶ大聖堂、精算されるキャラクター相関図。トメンを殺したのは誰か

こんな演出が出来るんだ!と衝撃を受けた第10話。

鬼火による大聖堂爆破までの道のりを、おごそかに鳴る音楽と、最低限の台詞で描き出すあの演出、あれをドラマのシーズン最終話で出来る覚悟。

鬼火の存在、裁判に出ないサーセイ、決闘裁判を行わないと宣言したトメンに対するサーセイの諦めのような視線。

“最終話で何か起きる”という予感は皆にありながらも、まさかこんな事が起きるとは…。

 

鬼火によって、その場にいたハイ・スパロー、マージェリー、ロラス、ランセル、その他主要な「サーセイの敵」が木っ端みじんに吹き飛んだことで、キャラクター相関図が大きく精算されました。

それ以上に、その様子とマージェリーの死にショックを受け、なんの躊躇もなく窓から飛び降りるトメンの姿ほど辛いものはありませんでした。

幼く純真で、きっと彼が成長した先にはマージェリーと良い王国を築けたはずだと思えたトメン。

そんな彼を狂わせた宗教を持ち込んだのは誰でもないサーセイであり、自身のマージェリーに対する嫉妬と権力欲が純真な息子を死に至らしめた事はサーセイ自身もわかっている、さらに言うとトメンが自殺するかもしれない事もサーセイは分かっていたはず。それでも、宗教とマージェリーに肩入れした時点でトメンはもう愛する息子ではなく、彼の死さえも受け入れていたのかと思うと、サーセイという人の哀しさが一層際立つ最終話。

 

セプタユネラを前に「すべては快楽のためだった」と繰り返したサーセイ。

そんな快楽も一気に精算され、もう現世には何も期待していないというか、ある意味達観してしまった人のような凄み。

この先彼女は、何のために生きるのでしょうか。

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ちょっとあまりに出来事が多くて書ききれないのですが、そのほか

・アリアがウェスタロスに戻り、フレイ爺暗殺

・ハウンドの復活と、ベリック&ソロスら兄弟団との合流

・サムが自宅のハーツベイン(剣)持ち逃げ

・エラリアとオレナの会合にヴァリス登場

などなど、次シーズンに繋がってくる展開にも注目。

 

そしておまけまでに、最終シーズンに合わせたオレオとのタイアップCMが最高なので是非見てみてください。凄すぎる!

www.youtube.com

 

 

 

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↓↓この先のシーズン7↓↓

 

 

※画像は全てimdbより引用