「ペーパーハウス」のヒット以降、勢いづいているNETFLIXのスペイン製オリジナル作品に、またまた傑作が登場!新作「嵐の中で」の感想です。
★「嵐の中で」
監督:オリオル・パウロ
キャスト:アドリアーナ・ウガルテ、アルヴァロ・モルテ、チノ・ダリン
◆予告編◆
◆あらすじ◆
テレビとビデオカメラ、そして嵐の到来が過去と現在を結んでしまう。25年前の少年を救った事で時空が歪み、別の人生で目を覚ましてしまったベラ。愛する娘が存在しない事を知り、もとの人生を取り戻そうとするがー。
◆感想(途中までネタバレなし)◆
タイムパラドクス×恋愛 のジャンルには多くの傑作が存在します。恐らく私の世代であれば、誰もが通ったであろう「バタフライ・エフェクト」の衝撃。最近では、恋愛だけでなく家族愛についての物語でもある「アバウト・タイム」など。
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タイムトラベルやタイムパラドクス、時制の編集など現実には起きえないこと。だからこそ普遍的な「愛」の尊さが際立ち、近すぎて見失っていた「幸せ」にもう一度気付かせてくれるのが、これらの作品が傑作たる所以ではないでしょうか。
そして、時間という「一方通行」なはずの題材を扱うからこそ、「あの時ああしていなければ」「ありえたかもしれない別の世界」に想いを馳せるのであり、そこに生まれる悲喜こもごもに涙してしまうのです。
だから、私はこのタイムパラドクス系恋愛作品が大好きです。
「嵐の中で」は、25年前のとある殺人事件と、その現場を目撃してしまった少年ニコ、そしてその少年とテレビを通じて面することになる現代の女性ベラとの運命が数奇に絡み合った物語。少年を救った翌朝、死ぬはずだった少年が生きている時間軸にきてしまい、夫も、愛する娘も失った世界で、主人公ベラはもとの世界に戻ろうともがきます。
正直途中までは予想できてしまうんですが、ラスト、そうきたかー‼と(涙)
※ここからネタバレあり※
ある意味、「バタフライ・エフェクト」の変形ともいえるラスト。あの作品を監督が観ているかどうかは分かりませんが、ちょっとした変化が未来を大きく変えてしまう“バタフライ効果”に基づく脚本、そして登場人物が最後にとった行動に滲む愛情の深さに共通する部分を強く感じます。
「愛する人が自分に気づかない」という苦しみに苛まれるベラ。だけどそれは、今目の前で自分の探索を支えてくれている刑事=ニコこそが襲われている悪夢。それでも彼は、彼女を支えながら、自分を思い出すように精いっぱいの努力をします。だってこれは、自身を救ってくれたテレビの中の女性を、命をかけてひたすらに探し続けてつかみ取った人生だから。
しかし、その彼女はある日突然自分(ニコ)を忘れ、元の世界に戻りたい、つまり“ニコが救われなかった世界”に戻りたいとひたすらに願うのです。誰も悪くない、ただただ無慈悲で悲劇的な“現実”がニコの前に立ちはだかります。
基本的にベラの視点で物語は進んでいきますが、こうして中盤で刑事の正体=大人になったニコという事が分かってからは、彼の視点に肩入れしてしまいます。それまでの「刑事」としてベラに接してきた数々のシーンを思い出すたびに感じるニコの想い、その切なさが半端ない。
ニコとベラが触れ合った瞬間、走馬燈のようにベラの脳裏に駆け巡った“ニコとの記憶”の中の2人はあまりに幸せそうで。その風景に早くも涙腺をやられていましたが、何よりもベラを想い彼女と出会わない時間軸へと移るために行動したニコの姿に、そしてその時間軸で優しくニコを包み込むように迎え入れるベラの笑顔にもう涙ぼろぼろ。
彼女だけが、ニコが自分の幸せのために行動してくれたことを知っている。この時間軸でなら、2人で幸せを築いていける。悪夢の先にこんなにも純粋で誠実な愛が待ってるなんて…。こんなに幸せで温かい気持ちに包まれるラストを迎える映画、久しぶりでした。
大好き!
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主演のアドリアーナ・ウガルテさんは、キーラ・ナイトレイの美貌に、レイチェル・ワイズの横顔とシャルロット・ゲンズブールのアンニュイを足したような美人さん。日本でもヒットしたスペインドラマ「情熱のシーラ」の主演でブレイク。
ニコ役にはチノ・ダリン。初めてお目にかかる俳優さんでしたが、儚さと知性が滲むイケメン。リメイクするならアンドリュー・ガーフィールド一択だなあ。NETFLIXの「熱力学の法則」という作品にも出ているようなので要チェックです。
そしてお目当て、アルヴァロ・モルテ。正直今回は当て馬役なので、見せ場はチノ・ダリンさんに譲っていますが、相変わらずのおどおどしたイケメンぶりが可愛らしい。日本人が好きな顔だと思うので、是非ブレイクしてほしいなあ。
ちなみにそんなアルヴァロ・モルテがシーズン1、2に引き続き出演する「ペーパーハウス」シーズン3が今年の7月19日より配信決定!!シーズン1、2はイッキミ確実の面白さなので、今のうちに是非観てみてくださいね。
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※画像はすべてimdbより引用