「すべてはサイコー!!」な傑作がまた出てきてしまいました…!
今年は特にペースが速い!
そんな「レゴ® ムービー2」の感想です。
★「レゴ® ムービー2」
製作&脚本:フィル・ロード&クリス・ミラー
監督:マイク・ミッチェル
声のキャスト:クリス・プラット、エリザベス・バンクス、ウィル・アーネット 他
◆予告編◆
◆あらすじ◆
あれから5年。ブロックシティは秩序が崩壊し、ボロボロシティとなっていた。
変わらず明るく能天気なエメットと、彼にはタフさが足りないと嘆くルーシー。
しかし、ある日突然宇宙船がきてルーシーやバットマンたちを誘拐してしまった!
彼らを救うために立ち上がるエメットだったがー。
◆感想(ネタバレあり)◆
まずは、四の五の言わずに前作「LEGO® ムービー」を観ましょう!
冒頭いきなり本題に入っていくので、1作目を観ていないときっと話がわからないし、とにかく物凄い傑作なので!!!
まるで子供向けの絵柄。わちゃわちゃした雰囲気。
本当にレゴを動かしているかのような可愛くてチープな動き。
子供向けの皮を被っていますが、この作品はクリエイティビティと知性と技術力の爆発です。
※当然、1作目を観ている前提でネタバレ全開で進みます※
1作目は、大人になってしまった父とピュアな「想像力・創造力」を持ったままの息子との関係がレゴ世界に仮託された物語でした。
そして、レゴという「想像力・創造力」を刺激する玩具をそのまま“世界”にしてしまうというクリエイター陣の「想像力・創造力」、そしてその世界で「想像力・創造力」をめぐる物語を紡ぐというメタ的な構造も素晴らしい、年間ベスト級の傑作。
実写が入るという驚きでこの強固なメッセージをしっかりと刻みつけた後、果たしてその続編は高すぎるハードルをどう超えてくるのか?
「レゴ® ムービー2」は、2作の間に流れる5年の歳月を上手く活かしてこのハードルを“超える”のではなく、物語自体を“進化”させています。
①「誰かに望まれた“自分”」ではなく「ありのままの“自分”」でい続けること
マニュアル人間(レゴだけど)だったエメットに、“そのマニュアルを作り運用する事ができる”という創造力を見出した1作目。
それは、すべての人の持つ可能性に光を当てる、優しくてエンパワメントに溢れたメッセージでした。
あれから5年。変わらなすぎるエメットに対して「もっと大人になって、タフになってほしいのに…」と嘆くルーシー。
彼女のためにタフにならなきゃ!と頑張るエメットが生み出したのは、タイムパラドクスを起こした未来の自分・レックス。
レックスの繰り出す言葉を信じ切ってしまったエメットは、世界の本当の姿に気づけず、いつしかルーシーの声にさえ耳を貸さなくなってしまいます。
そんなエメットが迎える「誰かに望まれた“自分”」との決別。
そこには、「ありのままの“自分”」を求めてくれるルーシーの姿。
前作からまた一歩、あゆみを進めるふたりの姿に滲むメッセージが泣かせます!
しかし、クリス・プラットのパブリックイメージをがっつりもりもりにしたこのレックスのキャラクター造形には、色々とかんぐってしまうなあ…。
もしかしたらクリス・プラット自身、そうした「世界に望まれた“自分(として受容されている、演じてきたキャラの数々)”」との向き合い方にちょっと悩んでいたりするのかも…?
クリス・プラットは、あのちょっとふんわりした体形で底抜けに陽性の、つまりエメットみたいなクリス・プラットのままでいいの。
観客誰もが抱いているであろうクリス・プラットへの愛情が、そのままエメットに重なるのが良いですね。
②「想像力・創造力」は多様だからこそいい。認め合い、融合しよう
今回特にこの5年の歳月が活きていたのは、1作目の少年がお兄さんになり、妹との関係性が生まれてきたところに物語の焦点を置いているところでしょう。
自身の作り上げてきた世界とは相容れない世界を構築し、遂には“侵略”してきた妹の作り上げるレゴ世界。
そこでおきた摩擦が今回の物語の舞台装置であり、その先にこの兄妹は初めて「お互いの想像力・創造力を尊重しあう」ことを学びます。
1作目でスポットライトをあてた「それぞれが持つ想像力・創造力」を、子供たちの成長に合わせて時間が経過した5年後の本作では「その多様性を認め、尊重し、融合してみよう」というこちらもまた一歩進んだメッセージとしてアップデートしてくれるとは!
このあたりの年月の使い方は「トイ・ストーリー3」が物凄く上手に、そして物凄くエモくやりきっていましたが、本作も実写世界を上手く使う事でメッセージを補強しています。
実写パートがある事に驚きを求めるのはもう難しい本作で、しかしこの実写パートの存在こそ、あの頃から5歳大きくなった小さな視聴者たちの歩みに合わせた物語の魅せ方なのかもしれません。
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そんなメッセージも素敵な本作ですが、相変わらず歌のクオリティが半端ない!!
前作の「Everything is Awesome/すべてはサイコー!!」に続く、本作のハック曲はこちら。
♪Catchy Song
さらに、エンドロールで流れるこちらの曲がまた「サイコー!!」なんですよ。
♪Soper Cool
このエンディング、吹替版でもご丁寧に歌詞を表示してくれるのですが、その歌詞が
(うろ覚えですが)
「エンドロールからが本番だぜ」
「この映画を作ったエライ人の名前気になるよな」
「90分遅刻しても大丈夫!エンドロールが見れるぜ」
とかいう、盛大な自虐の中に映画愛がたっぷりつまったものになっています。
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そしてもう一つ見逃せないのが、あちこちに散りばめられた映画ネタ。
やはりDC関連は面白いですねえ。
本筋にかなり絡むバットマンは、かなりのひねくれ者かまってちゃん(笑)
グリーンランタンはネタにされ、スーパーマンはのんきに芝刈り。
新旧アクアマンに、突然のブルース・ウィリスに、ハーレイクインもいましたよね。
DC以外でも、ガンダルフは崖から火口に滑り落ち、ボロボロシティにはウォーボーイズたちがたむろし、ディズニープリンセスみたいな子は女王の召使いだったりして、とにかく飽きさせない!
個人的には、単体主演映画の本数(と、今後待機する3作品)を自慢するバットマンが愛おしすぎて愛おしすぎて。あのファッション一匹狼め。
そんな「レゴ® ムービー2」を気に入った方は、同じくフィル・ロード&クリス・ミラーが脚本を手掛ける「スパイダーマン:スパイダーバース」も必見!
どちらも絶賛公開中。
やはりフィル・ロード&クリス・ミラーは間違いない!
“すべてはサイコー‼”
※画像は全てimdbより借用