長く続くドラマは当然、シーズンによって出来に差がでるわけですが、「ゲーム・オブ・スローンズ」シーズン5は世間的にもちょっとトーンダウンしたような気がします。
シーズン1から繋がってきた大きな伏線がシーズン4で一旦の決着を迎え、カリスマキャラが退場していくので、若干の仕切り直し感があるからでしょうか。
そんなシーズン5ですが、2週目の視聴では「複数の物語が平行するからこその多種多様な巡り合わせ」というゲースロならではの面白さに色々と気づく事ができました。
そんなシーズン5の見どころです。
【各陣営のあらすじと感想(ネタバレあり)】
◆シーズン5はエッソスが熱い!ジョラーの一途な想いに胸打たれまくり
当方がジョラー・モーモント大好きな事は以前にお伝えしたかと思いますが、初回視聴の時に最大級に撃ち抜かれたのがまさにこのシーズン5。
シーズン4で、過去のスパイ活動がバレてデナーリスに追放されてしまったジョラーおじさんはどこへ行くのかと思いきや、デナーリスファッションの娼婦が一番人気の娼館に出入りする始末。重症。
そんな彼の元に、まさかのティリオン・ラニスター!
これこそ複数の物語が平行するゲースロならではの巡り合わせの面白さですね。
ヴァリスの計らいで王都から逃れてきた彼は、ジョラーにとって最高の獲物。
デナーリスの元に帰還するのに手土産の一つでも、と彼を拉致します。
そんな中、運悪く奴隷商人に捕まってしまい闘技に出る羽目になるジョラーでしたが、またも神様の優しさかその予選会にはデナーリスが見物に!
良い所を見せて復活を狙うジョラーでしたが、ここでは結局説得に失敗して再び追放されるはめに。
それでもめげないジョラー、なんと自ら自由を捨てて奴隷商人の元に引き返し、予選を勝ち抜いて、デナーリスが当然出席する闘技会本戦に出場!!
…この執着ぶりをここまでピュアに感じさせるイアン・グレン様は凄い。
ハーピーの息子たちによるクーデターの中、ジョラーが差し出したその手を受け入れるデナーリスの姿に涙したのは言うまでもありません。
よかった…。ほんとよかった…!!
策略が面白いゲーム・オブ・スローンズですが、ジョラーをはじめとした「主君に絶対尽くす」属性のキャラ達もとても魅力的なんですよね。
そしてこの闘技場にドロゴンが現れるシーンは、その神話感溢れる演出が大変素晴らしく、現実主義なティリオンが奇跡に心撃ち抜かれる様もまた面白い、シーズン5のハイライトのひとつです。
◆サンサ&ベイリッシュの歪んだ同盟関係は続く
シーズン4で、初めてサバイブするための嘘を覚えたサンサ。
そんなサンサに、亡きキャトリンの代替物として、そして自身の“娘”として歪んだ愛情を抱くベイリッシュ。
シーズン5で、徐々にベイリッシュの野望とそこへ向けたロードマップが見えてきます。
それは、スターク家とラニスター家を対立させたのと同じようにボルトン家とラニスター家を対立させることで、北部総督へのしあがり、そして鉄の玉座を狙うという算段。
その隠し玉としてサンサを利用しようとしているというのがまた、愛情を持ちながら彼女の幸せを願えない歪んだ男という感じでいかにもベイリッシュっぽい。
(キャトリンを死に至らしめたのも、基本的にはベイリッシュのせいだし)
サンサはこのとき、どこまで気づいていたのか?
「ボルトン家に嫁ぎ、兄ロブの復讐を」とささやき、「あなたが北部総督だ」といって母を面影を重ねながら自分にキスをする男の言葉を、サンサはその狙いを理解しながらある種自分が生き抜くための同盟として受け入れているんでしょう。
旦那になる男はまた狂気に駆られた男で、自分の弟を殺したシオンがその傍にいて、周りは完全アウェイ状態となったら、救いを求められるのはベイリッシュだけ 。
そんな状況になることをわかっていながらボルトン家にサンサを送り込んだはずなので、ベイリッシュは本当にたちが悪いなあ。
しかし、ベイリッシュのもくろみが外れるほど、このラムジー・ボルトンという男は戦場における戦略・戦術に恐ろしく長けています。
ジョフリー以上に嫌われがちな悪役だけど、そこについてはゲースロでも1、2を争うと思う。
そんなボルトンに対し、娘のシリーンを火あぶりにまでして戦いにいったスタニス軍があっさり負けるのはなんとも無情。
しかもボルトン軍に殺されるのではなく、自分(の影)が殺したレンリー・バラシオンの従士だったブライエニーに殺されるというのがいかにもゲースロらしいです。
このタイミングでブライエニーがこの場にいるということも、こうした複数の物語が平行するゲースロだからこそ出来る脚本の面白さ。
◆アリアの暗殺リスト「マーリン・トラント」
ブレーヴォスへ渡ったアリアは、ジャクエンのもとを訪れ「顔のない男たち」へ加わり修行にいそしみます。
このシークエンスが正直初見のときは眠気を誘発してたんですよね。
とにかく、画面が暗い!
あと、せっかく暗殺リストの1人であるマーリン・トラントをアリアが殺すのに、誰だかはっきり覚えてなかった自分の記憶力…。
元をたどれば、シーズン4ラストでタイウィンが殺されて王都内をサーセイが仕切るようになり、邪魔者ゆえにアイアンバンクを訪ねてブレーヴォスへ派遣されるメイス・タイレル、そのお供としてマーリンが付き添っているわけで、これもまた複数の物語が平行するからこそ起こるめぐり逢いというゲースロの醍醐味なのに、その対象人物を忘れているなんて…。
イッキミ且つ2週目だと、こうした展開を細かにキャッチアップできるのが良いですね。
(ちなみに暗殺リストの1人であった処刑執行人「イリーン・ペイン」は、演じる役者さんが重病か何かだそうで、さらっと消えてます)
◆ミイラ取りがミイラに!サーセイのおかした失態と覚醒
王都ではタイウィン亡き後、サーセイがその支配を強めるべくいろいろと好き放題。
トメンを掌で転がす等気に喰わないマージェリーとタイレル一家を追い詰めるべく、ハイ・スパローというどこの馬の骨だかわからない宗教人を取り入れ、その聖兵を武装させる始末。
宗教と国家とのバランスは、実際の史実でも色々な対立を生み出していますので怪しい気配はありましたが、案の定ハイ・スパロー軍の力が肥大化していきます。
ちなみにタイレル家を崩壊させる一因になったロラスの男色趣味の露呈、そこにはまたまたベイリッシュが絡んでいるんですよね。
彼が男娼として送り込んだスパイであるオリヴァーがここでも暗躍。
そうしてロラスとマージェリーを牢に押し込めて勝ったも同然の顔をしていたサーセイ。
しかし、かつてのサーセイの愛人で未だ活躍のしどころがなかったランセル・ラニスターが、ここにきてその事実をハイ・スパローに打ち明けていたというまさかの展開。
そのせいで自分も捉えられ投獄されるという皮肉は、脇役を使い捨てないゲースロらしい。
シーズン5のハイライトの一つ、サーセイによる贖罪の道行き。
ドラマでここまでやるのか!という容赦ない描写、演技。
そうまでして王都に向かうサーセイの強い意志は、ある意味でリスペクトします。
しかし、ハイ・スパローという存在がこのドラマでこれだけの尺をとって描写されるキャラクターだったのかというとちょっと疑問も。
シーズン5の若干の停滞感はここにもある気がします。
タイウィンというカリスマ性ある策略家キャラは、簡単には替えが効かないですね。
◆ジェイミー&ブロンのミアセラ奪還作戦
シーズン5で一番「おいおい…」となったのがこのシークエンス。
王の盾がこそこそ他家の領地に忍び込んできて娘連れて帰っていったら、そんなの国をあげた大問題になるでしょ!という、すごく知能の低い作戦が決行されます。
ただ、ジェイミーとブロンはなかなか良いコンビなうえに、ブロンの歌(めちゃ上手い!)が聞けたり、誘惑されるブロンが観れたりするので、まあいいか…という感じ。
そして、最も哀しい展開、真実を共有しあった矢先に愛する娘を失う父ジェイミー。
「あなたがお父さんで嬉しい」と、その存在を受け入れてくれた愛する娘。
「愛する人は選べない」とずっと言い続けてきたジェイミーは、それゆえに名誉を失い、手を失い、愛する娘も失うなんて…。
穏やかで慈悲深く戦いを嫌う領主ドーラン・マーテルによって救われたジェイミーですが、その慈悲でジェイミーを救った事が亡きオベリンの愛人エラリアの復讐心を刺激し、結果としてミアセラ暗殺という形となってしまったのがまた因縁めいています。
◆ジョンは野人とナイツウォッチの架け橋になれるのか?
アリザー・ソーンに勝ってナイツウォッチ総師となったジョン。
しかし、そのアリザーの嫉妬心、ジオー・モーモントとメイスター・エイモンというジョンを支えてきた2人の不在、そして野人との向き合い方がジョンを危機に陥れます。
ハードホームでのホワイトウォーカーとの闘いがあまりに壮絶なだけに、その後訪れたのが安堵ではなく哀しい展開であったことには絶望しました。
嘘をついてジョンを誘い出し、代わる代わる剣で刺していくナイツウォッチたち…。
そこには、アリザー・ソーンだけでなく、あの男の子も…。
しかし、奇跡的にここにはメリサンドルがいます。
スタニスの元を去り、以前出会い見込んだジョンのいるカースル・ブラックに戻ってきていたメリサンドル。
そのめぐりあわせこそ、今回さんざん書いているゲースロの面白さであり、シーズン6での〇〇に繋がります。
刺されたジョンは死んだのか?その真相はシーズン6で…。
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※画像は全てimdbより引用