ゾンビものの何が好きかって、アレンジの腕前大博覧会みたいなところ。
ゾンビなのに恋する少年。
ゾンビなのにジェーン・オースティン。
ゾンビなのにロードムービー。
ゾンビなのにサファリパーク。
場所もジャンルも何でもありで、あのフォーマットを使って如何に「そう来たか!」と思わせ唸らせるか、クリエイターたちの知恵ととんちと気概が詰まった企画を掘り当てるのは、めちゃくちゃ面白い。
そんな知恵比べ的低予算ジャンルにも、NETFLIXが本気の予算を出してきました。
巨額の予算で製作された初の韓国製ゾンビドラマ「キングダム」シーズン1。
2019年現在、全世界の2大人気ドラマ「ウォーキング・デッド」と「ゲーム・オブ・スローンズ」を混ぜ混ぜして朝鮮王朝に置き換えたような、「ゾンビ×宮廷策略物」がどちらも楽しめる超おすすめドラマです。
★「キングダム」シーズン1
演出:キム・ソンフン
キャスト:チュ・ジフン、リュ・スンリョン、ペ・ドゥナ、キム・サンホ、ホ・ジュノ、キム・ソンギュ、キム・ヘジュン
◆予告編◆
◆あらすじ◆
舞台は李氏朝鮮時代。
王が病に倒れたという噂が国中に広まる中、死んだはずの者が夜になると動き、人を喰らうという謎の疫病もまた広まり始めていた。
側室が生んだ皇太子であるイ・チャンは、父である国王との謁見を王妃に拒まれたため王宮に忍び込むが、そこで観たのは恐ろしい獣のような影とうなり声。
大監チェ・ハクジュに追われた彼は、父の病の真相を探るべく担当医であったイ・スンヒに逢いにいくが・・・。
◆感想(大きなネタバレなし)◆
韓国の宮廷時代劇ものはほぼ観たことがないので、ゾンビもの好きとしては、ゾンビとうまく融合するの?ゾンビ好きでも楽しめる?と観始める前は半信半疑状態。
そもそも韓国の人名や役職名、地名になじみがありません。
正直どうかなーと思いながら見進めることものの数分。
「おおう、王様既にゾンビ化してるんかい・・・(いいかも)」
と、早速のジャブ。
話がすすみ、どうやらイ・チャン=世子様(=セジャ様)と呼ばれる側室が生んだ息子で、謀反の疑いをかけられ王宮を追われたこの人が主人公ぽいとなり、
「つまりゲーム・オブ・スローンズね(わくわく)」
と段々話のアウトラインが見え始めてくる。
そして、肝心のがっつりゾンビ描写はまだかなーと思っていた所で会心の一撃。
「これ、一番最悪な形でのゾンビ感染だ・・・(ぐさり)」
第1話で明かされる感染拡大の原因描写に、このドラマのゾンビものとしての本気っぷりが見えて気に入り、そのまま最後までイッキミしてしまいました。
せっかく現代ではなく過去を舞台にするのであれば、その時代ならではの要素とゾンビ要素をうまく掛け合わせてほしいので、その意味でもなかなか良い滑り出し。
このあたりの描写の手抜きのなさが素晴らしい。
そんな本作のゾンビ達の法則はこちら。
①夜に活動し、朝になって陽の光が差し始めると活動できなくなる
②噛みつかれると瞬時に感染する
③首をはねるまで死なない
④全速力で走る
④は昨今「ウォーキング・デッド」に慣れて忘れている人も多いかもしれないけど、最近のゾンビは走るよね!という事を思い出させてくれるスリル満点の描写が◎。
②③はまあゾンビものの基本設定なのですが、①が斬新で新しいしとても便利。
物語上、日中は王朝内の策略描写に時間を避けるし、ただゾンビから逃げるだけでなく待ち構えてどう戦うかの描写に時間がさける。
突然襲われてびっくりさせる描写に走らず、まるで戦場のように戦略と戦術を組んで武器を用意してゾンビと戦うというのはなかなか面白い。
昼間に描かれる王妃や側近たちの権力への執着ぶりはまあ醜く、セジャ様との対比がきいています。
でも、セジャ様はなかなか曲者で正統派の聖人ではないんですよね。
側室の母のもとに生まれ、正妻である王妃が男児を産もうとしている王朝の中で命の危険を察知しながら生きてきた青年。
世間知らずなのか、お高い所も残している人なのか、たまに毒を吐いたりする。
だからこそ、そんな彼がこのゾンビパンデミックの世に国の真の姿を知って内に秘める英雄性を開花させ、民の信頼を得て、王座に返り咲く展開が待っているはずだと勝手に想像しています。
ゾンビ好きで観始めたはずなのに、うっかり宮廷ドラマにも肩入れする始末。
面白かった!!
※「ゲーム・オブ・スローンズ」を観ている方であれば、あそこまで登場人物多くないし複雑さはないので、その分早くホワイトウォーカーがやってきたとでも思えば見やすいかも。
そんなセジャ様と共に、王朝ドラマを盛り上げるのはこの面々。
ソビ(ペ・ドゥナ)/王の担当医だった女医。今は持律軒という診療所にいる
ヨンシン(キム・ソンギュ)/持律軒の患者だが、異様な銃の腕前を持つ
ムヨン(キム・サンホ)/セジャ様の護衛。コミカルおじさん
チェ・ハクジュ(リュ・スンリョン)/セジャ様を謀反の疑いで追う最大の権力者
王妃(キム・ヘジュン)/妊娠中の王妃
アンヒョン大監(ホ・ジュノ)/幼少期のセジャ様を導いた師匠
物語は、元々全8話構想だったものを、シーズン1全6話+シーズン2という形に振り分けているので沢山の謎と興味を残して終了します。
さて、ここからはネタバレありで。
◆感想(ネタバレあり)◆
私も最終話までそう思っていましたけど、実はこの「今回のゾンビの法則」それそもそもが仕組まれたミスリードでした。
最終話で明かされるその事実。
本当は「ゾンビはある一定の温度に下がると活動し始める」だった!
確かに、第5話での草むらでの戦いは夜になりきる前にゾンビたちが動きだしていて、内心「あれ?」と感じていました。
もっとしっかりカラーコントロールして夜に見せた方が良いのでは?なんて思っていましたが、思えばこれはヒントだったんだな…。
本編に出てくる地図でいうと東南の方でパンデミックになって関門封鎖になっていたので、北上するほど平均気温も下がってゾンビの活動時間は長くなりそうですもんね。
そして、そんな超大事な事実が判明したところでのクリフハンガー!
そんなの観るにきまってますよシーズン2。
きっと、首都である漢陽に向かって北上していくほどゾンビの活動は活発になるはずなので、シーズン2ではよりゾンビ成分も増量され、宮廷の権力争いも激化してさらに面白くなるはずです。
やはりというか、王妃の妊娠は嘘で、男の子を生ませるために妊婦たちを隔離している始末。当然、女児を産んだら即刻消されてましたね…
そこにはムヨンの妻が!きっとこのあたりも物語に大きく絡んでくるはず。
あと、あんな素敵な過去回想シーンを見せられておきながらも、アンヒョン大監は一番怪しいと思っているんですよね。
彼はどちらの側なのか??その真相も気になります。
シーズン2は今撮影に入ったらしいので、年明けぐらいかな?
シーズン1を観て、続きを楽しみに待ちましょう。
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※画像は全てimdbより引用