こんにちは。
以前から面白いと聞いていたNETFLIX製ドキュメンタリーの最新話題作「FYRE」。
仕事柄的にも気になる題材だったので見てみたら・・・ちょっと、これは必見!!
もしこれが映画だったら、こんな脚本書こうものなら「いやいや、さすがにリアリティないだろ!」とどこかしらでつっこみが入るであろう地獄のデスマーチ展開が、実際に起きていたという事実が凄すぎる。
面白いというのは語弊がありますが、題材とそこへの肉薄具合が出色!
全ての働く人必見、胃がきりきりするドキュメンタリーです。
★「FYRE 夢に終わった史上最高のパーティー」
◆予告編◆
◆あらすじ◆
青い海に抜けるような青空。ビーチには水着のスーパーモデルたち。
そんな楽園のようなバハマの私有島で開催される予定だった豪華音楽フェス「FYRE フェス」は、突然当日キャンセルという未曽有の惨事に見舞われる。
一体、何故そのような事態に…?
フェスを仕掛けた実業家、疑問を持ちつつも彼の夢を支えようとして裏切られたスタッフたち、そして幻と消えたフェスの参加者たち。
フェス開催までの彼らの様子と、インタビューをもとに構成されるドキュメンタリー。
◆感想◆
胃が、、、胃が痛いよー!!!
これ、ここまでの大惨事とはなっていなくとも、近しい状況を観たことある人は少なからずいるんじゃないですかね…?
ちなみに私は、惨事のサイズ感でいえばこの1万分の1くらいですが、同じように「あ、これデスマーチに入ったな・・・」と思った経験、あります。。
この時は取り残されたスタッフ側でしたが、思い出しても胃が痛い、、、。
最もツライのは、このFYREフェスの主催者である実業家ビリー・マクファーランドが根っからの極悪人ではない点。
いや、ここまでの詐欺を働いている次点で悪人ではあるのですが、「騙してもうけようぜ!」から始まったフェスではないという点。
ただただ、熱意と夢だけが暴走し、それを支えられるだけの力量が伴わなかった。
そうした状況を客観的に認識して対処できる能力も覚悟も、そしてつもりもなかった。
半ばトリップ状態で突き進み、嘘に嘘を塗り重ねる事に自制がきかなくなっていたナチュラルボーンライアー。
自分に異を唱える人間を、切り捨てる事でしか自分を維持できなくなっていたビリー。
自身の力量、出来る範囲を正しく見積もれていれば、もしくは、状況を正しく見積もった上での周囲の度重なる助言を聞き入れていれば、こんな事にはならなかったのに、、、
当日のフェス会場は、想像以上の惨状でひどすぎて笑ってしまうほど。
状況がつかめず、ひたすらビーチで酒を飲むしかない参加者たち。
事態が掴めてきた途端、テントを取り合う人々。
だけどテントは水浸し。そもそも宣伝とあまりに違うチープなつくり。
豪華ディナーのはずが、紙切れのようなハンバーガー。
待てど待てど始まらないステージ。
帰りたくても、帰りの飛行機がない!
FYREフェスが謳った、ベラ・ハディットやエミリー・ラタコウスキーらスーパーモデル達と過ごす夢のフェスティバルの姿はもはやどこにも見えません。
そして、そんなビリーに振り回されたスタッフたちのインタビューが泣ける。。。
開催中止の瞬間まで、なんとかしようと奔走したスタッフ。
あまりの惨状に、中止を訴え続けてきたスタッフ。
何もわからず、突然の中止に動揺するしかなかったスタッフ。
インフラが無い、トイレが無い、水がない、宿泊所が無い・・・。
全てビリーの夢だけで始まったFYREフェスには、それを支えるために必要な設備も準備も経験もなかったのを、時にはスタッフが個人で資金を立て替えて、時にはお金のために身を捧げる覚悟さえしてなんとか這いつくばっていたのです。。
そんな彼らには、フェスの中止後給料も払われず、その上「家族なんだから一緒に頑張ろう」という恐ろしい言葉がビリーからかけられる始末。
そして、逮捕・保釈後も、PR担当がついて高級ホテルで何やら怪しい詐欺に首をつっこんでいくビリー。
うん、全スタッフさん、キレてよし!!
彼が開催前に見せつけたインフルエンサーマーケティング施策の効果のほどは観ての通り。
あんな実態の知れない新規の音楽フェスイベントがあれだけの集客を獲得できていたのは、ひとえにインフルエンサーたちが投稿した写真、動画、そしてFYREフェスをアピールする「オレンジのタイル」の力。
ある意味、彼女たちの集客力はこれ以上ないほど証明されたわけです。
彼女たちは、どんなフェスかなどわからずにただ仕事としてきたものに十二分に答えていただけでしょう。
ただ、PRをする側のインフルエンサーにとっても、この事件は自身の仕事を振り返り、そして今一度仕事の受け方を考え改める必要性を突き付ける、かなり大きな出来事になったはず。
実施、事件後PRに加担したインフルエンサーたちが謝罪する事態になっているんですよね。
ちょっと内容は違いますが、最近商標権侵害として話題になったティラミス店「HERO'S」。
本家シンガポールの「ティラミスヒーロー」に無断で商品をパクって商標登録して展開していた事が明るみになった事件ですが、その「HERO'S」の広告塔を三浦翔平さんが務めているんです。
これ、三浦翔平さん側にとってはとばっちりで、この商品・企業がパクりだなんて気づかなかったと思うんですよね。
相手先シンガポールだし。
だけど、こうして事件化した時に自動的に三浦翔平さんが紐づいてネガティブに紹介されるのってすごくイメージに傷つけられちゃってるはず。
事実、彼のインスタには批判的なコメントも来ているし。
ただその一方で、そんな商品を広める事に加担してしまってもいるのも事実で、それはそれで厳しく言われてもしょうがない部分ではあります。
これからの時代、単純に「CM契約で〇千万円」という事におどらされるのではなく、自身が紹介する商品、薦める商品には責任を持たないといけないのがインフルエンサーや著名人の鉄則。
今なお効力を持つインフルエンサーマーケティングに関わる全ての人に警鐘を鳴らすという意味で、なかなか得難い教訓を与えてくれる作品になっております。
そんなワケで、全社会人必見!特にPRやら広告やらに携わる人、自身のプロダクトに夢を情熱を持つ起業家の方などには特に観てみてもらいたい必見のドキュメンタリー。
NETFLIXで好評配信中です!
※画像は全てimdbより引用
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※余談:
このFYREフェスの顛末、やっぱりどう考えても題材的に興味深すぎて、どうやらhuluでも別視点でのドキュメンタリーがあるようです。
しかも、hulu版にはビリーのインタビューがあるらしいのですが、そのためにビリーに何千万もギャラを払ってる事をNETFLIXが暴露・ぶちあげて論争になっているんだとか。
それこそ、やりたい事に向かって暴走してしまったビリーと同じじゃんっていうオチ苦笑。
(残念ながら、日本huluでは19年2月3日段階では配信されていないようです)