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「ベルベット・バズソー 血塗られたギャラリー」(ネットフリックスオリジナル/映画)感想 ~超豪華なハリウッド版「世にも奇妙な物語」【おすすめ度:★★★】

最近のNETFLIXオリジナルは、本当に自由だ。

 

「ビースト・オブ・ノー・ネーション」を放り込んできた頃は、“良質なアートハウス系映画は我々が救う”的な事を目指しているのかと思っていたけれど、最近のラインナップを観る限りそれだけではないらしい。

 

「ROMA」のアカデミー賞ノミネートに代表されるように、そういったクオリティ志向の作品群が今も一つのラインとして存在しているのは確かだけど、なんかもっと、混とんとしているというか、NETFLIXの中で様々なジャンル・コミュニティ?ファンダム?のようなものが沢山出来ているような感じ。

そんな崇高なものではなく、我々のもとに降りてきた、もっと欲望に忠実な作品作りというか、いいぞNETFLIX!という感じのラインナップ(笑)

 

 

例えばマッツ・ミケルセンの「POLAR 狙われた暗殺者」なんて、マッツファンしかターゲットにしてないんじゃないの?という1スターのファンダム一極集中ぶりですよ?

www.evisilli.website

 

今作「ベルベット・バズソー 血塗られたギャラリー」も、予告やアートワークからしてみるからにただの“いい映画”ではなく、もっと「こういう事やったら面白くない?」という欲望と興味に忠実に作られた映画という感じがして、わくわくして待っていた作品。

 

そして、案の定でしたよ!

これは、超お金のかかったハリウッド版「世にも奇妙な物語」です!

ああ、楽しい。

 

★「ベルベット・バズソー 血塗られたギャラリー」

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◆予告編◆

www.youtube.com

監督:ダン・ギルロイ

キャスト:ジェイク・ギレンホール、レネ・ルッソ、ゾウエ・アシュトン、トニ・コレット、ナタリア・ダイアー、ジョン・マルコヴィッチ、

※この予告冒頭のジェイクの演技が最高!

 

◆あらすじ◆

舞台はロサンゼルスの現代美術界。

彼氏と別れたばかりの辛口の評論家モーフは、画商を夢にみるジョセフィーナにすり寄っていた。

野心に燃える彼女は、冷酷でやり手な画商ロドラのギャラリーで働く雑用係。

そんな彼女がある日、マンションの別階でなくなった老人ヴェトリル・ディーズの家をのぞくと、そこには恐るべき引力を持つアート作品が残されていた。

「捨てろ」というディーズの遺言を無視してその作品を持ち帰ったジョセフィーナ、その作品を扱おうと横入りしてきたロドラ、そして作品についての本を書くと言い出したモーフ。

欲望に満ちた彼らの運命は、ディーズの作品によって狂い始めるー。

 

 

◆感想<ネタバレあり>◆

ダン・ギルロイ監督×ジェイク・ギレンホールといえば「ナイトクローラー」。

 

この作品でジェイクが魅せた狂気の表情、あのさわやか青年が欲望でギトギトして見えるほどの壮絶な演技。

 

その二人が再びタッグを組み、そして「ナイトクローラー」でもいい味出してた監督の妻であるレネ・ルッソも再共演となれば、純粋なアートサスペンスになんてなりようがないわけです。

 

いやー、完全に「世にも奇妙な物語」ですこれは!笑。

 

物語は、あらすじに書いたような事がほぼすべてで、アート作品を「金のなる木」としか見ていないアート界の面々を壮大に皮肉り、(物理的に)抹殺していくというもの。

そこにはもちろん批判精神も色濃く出ているんですが、それが「ホラー」というエンタメとして昇華されているのが一番の面白さ。

 

アートが、物理的に、殺しにくる。

 

自分が「金のなる木」として、自身の欲望の達成の道具としてみていたアート作品に襲われるという構図はなかなか観たことがない!

 

もうこんな豪華なキャスト達が、不条理すぎる状況下で死に追い込まれていく様がなんとも風刺的。

絵画の中のサルに襲われるビリー・マグヌッセン。

球体アートから手が抜けなくなり、シュパッと腕がもがれて失血死するトニ・コレット。

自身の出世のための駒としてしかみていなかったアーティスト・ダムリッシュの路上の落書きの中に取り込まれてしまうゾウエ・アシュトン。

背中に入れたタトゥーが回転しだして肉体を破壊されるレネ・ルッソ。

そして、謎のホームレスロボットに追いつめられるジェイク・ギレンホール。

 

それぞれ基本的に死体(死に顔)は写さないという所に監督の意図を感じます。

それは、死体のバリエーションを描いてしまうとそこに焦点が集中してしまうという懸念、そしてそこが核ではないという監督の興味の現れでしょうか。

特に主演のジェイクの最後をまったく描かないあたり、「あとは彼のやってきた事を考えればわかるでしょ?」と言われているかのよう。

 

「世にも奇妙な物語」でもよくあったじゃないですか、こういう感じの話(笑)

ちょっと風刺的で、教訓めいた物語を下地に、不条理な死が広がっていくブラックコメディ的な感じのやつ!

 

 

だけど、そんなアート達による殺戮がただのコメディにならず結構本気で怖いのは、このヴェトリル・ディーズの作品として展示される作品がリアルな引力を持っているから。

 

調べてみたのですが、劇中アートのクリエイターはこの方。

 

Saxon Brice(Original Art Creater)

Saxon Brice Studio | Los Angeles based visual artist

 

FLORENCE+THE MACHINEのアルバムアートワークとかを手掛けているみたいです。

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本人の公式HPより引用

 

劇中で何作品か彼のアートが展示されるのですが、そのどれもが悪魔的な恐ろしさとそれでも惹きつけられる魅力があって、特にアートの知見はない私でも魅入ってしまいました。

欲しいかと言われたら、怖いので家には飾れないけれど…(笑)

 

www.instagram.com

※劇中で一番ヤバいのがこの作品。目が離せなくなります。。。

 

 

彼の作品群の持つ有無を言わせぬ説得力は、その作品を前にした時に「金」を想像する側の人間か、純粋にその魔力に魅入る側の人間か、観ているこちらにも問いかける力がありました。

 

 

思えば、モーフの最後にしても、トニ・コレット演じるミュージアム運営のグレッチェンの最後にしても、純粋にその価値を受け止められなかったアート達に襲われています。

 

一方でダムリッシュと、ジョン・マルコヴィッチ演じるベテラン作家ピアースのふたりの描写は対照的。

 

ディーズのアートを観て、アーティストとしての魂を売りかねない自身の行く末に気づき、原点に立ち返るほど純粋にその価値、力に引き寄せられたダムリッシュとピアース。

エンディングのピアースがただただ心にしたがって海辺で砂に円を描いていくシーンは、「アートって本来そういうものだったはず」という原点を思い出させてくれる。

彼らの存在、そして本気で魅入ってしまう劇中アート作品の数々が、本作に「世にも奇妙な物語」の一篇で終わらない魅力を与えていたように思います。

 

そんな、「言われてみればそこまでの話」になりそうな物語を、予算をかけてこれだけの豪華キャスト(と本格的なアート作品)で、且つクリエイターの理想のままエンタメとして仕上げてくれるNETFLIX。いいよその調子!

 

 

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最後にイケオジ俳優チェック。

この作品でのジェイク・ギレンホールは、ゲイのアート評論家役です。

やっぱり上手いよ~~。

アヒル口に、常に顔周りをうろつく手の動きや所作、にょろっとした立ち方etc.

前半でまさかの「全裸に〇〇で日光浴」があります!!

「ハイ・ライズ」のトム・ヒドルストンの「全裸に本で日光浴」並みの威力・・・。

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そんな日光浴シーンは是非本編で、、

 

「ベルベット・バズソー 血塗られたギャラリー」は2月1日よりNETFLIXで配信中です!

 

※画像は全てimdbより引用

 

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