こんにちは。
作品とは全然関係が無いのですが、4DXの近くのスクリーンになった時のあの「揺れ」にいつも悩まされています…。
自宅からのアクセスが良い&シネマズカードがあるのでTOHOシネマズ新宿をよく利用するのですが、ほんとスクリーン5番、いつも揺れすぎじゃないですかね…?
耐震設計どうにかしてほしい!
そんなTOHO新宿スクリーン5で観てきました、「蜘蛛の巣を払う女」。
過去のミレニアムシリーズとの比較もしつつ、今回の作品の見どころをご紹介!
★「蜘蛛の巣を払う女」
監督:フェデ・アルバレス
キャスト:クレア・フォイ、スベリル・グドナソン、シルヴィア・フークス 他
◆予告編◆
◆あらすじ◆
リスベット・サランデル、天才ハッカー。
彼女の元に新しい仕事が舞い込む。
それは、ある博士が開発してしまった核攻撃プログラムをアメリカの安全保障局から取り戻す事。
難なくハッキング完了―。
しかし、たやすい仕事と思われたそれは、かつて道を違えた双子の妹・カミラからリスベットにしかけられた罠だったー。
◆感想(ねたばれ無し)◆
どうやっても、前作「ドラゴン・タトゥーの女」との比較を逃れられない本作。
私の感想としては、「比較しちゃうのは致し方ないけど、本作にしかない魅力もアリ!」という事で、本作ならではの部分と、比較してどうなのか?という部分を書いていきますね。
1、なんで何種類も映像化があるの?シリーズ制作の裏側解説
2、今回はもっともエンタテインメント性が高い!
3、リスベット役は、結局好みの問題!皆違って皆いい
4、〇〇の影が薄いのは正解!
の4ポイントでご紹介していきますね。
1、なんで何種類も映像化があるの?シリーズ制作の裏側解説
本当に紆余曲折を経ているこのシリーズ。
そもそもはスウェーデン発の世界的ベストセラー「ミレニアムシリーズ」が原作です。
こちらはその1作目。

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女(上・下合本版) (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 作者: スティーグ・ラーソン,ヘレンハルメ美穂,岩澤雅利
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/08/01
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で、これをスウェーデン本国で映画化したのが、ノオミ・ラパス主演の「ミレニアム」三部作。
「ドラゴン・タトゥーの女」がヒットし、テレビドラマとして展開予定で制作されていた第2作「火と戯れる女」と第3作「眠れる女と狂卓の騎士」 も劇場公開して大好評。
この3作品で主演のリスベットを演じたノオミ・ラパスは、一躍脚光を浴びる事となり、ハリウッドに進出していったんですよね。
で、そういった他国言語の作品がなかなか大きく展開されないハリウッドの事情もあり(入っても字幕ではなく吹替が多い?)、リメイク化が決定するとこのリスベット役が大争奪戦に!!
まあ、私が女優の卵だったとしても絶対に勝ち取りたい!と思う役である事は間違いない。
それくらい、このリスベットという役は「魅力的」なのです。
天才ハッカー。
鼻ピアスに刈り上げた黒髪。
背中にはドラゴンのタトゥー。
そんな造形はもちろん、自らも暗い過去を持ち合わせ、女性への暴力に抵抗する正しき犯罪者という義賊的でヒロイックな一面。
どこまでも孤独を背負い、強さと弱さを併せ持った存在。
そして、ノオミ・ラパスとはまるで印象の違うルーニー・マーラが選出され、見事まったく異なるリスベット像を披露してスターダムを駆け上がったわけです。
それがこちら「ドラゴン・タトゥーの女」。
監督を手掛けたデヴィッド・フィンチャーの腕に見事はまった、あまりにかっこいいオープニング、凄惨な暴力描写、ルーニーとダニエル・クレイグのケミストリー。
が、この後、待とうにも待とうにも続編の話は進まず。。。
で、キャスト一新!!となってしまったわけです。
一説にはギャラが折り合わなかったとか。
さー、ここから新たなリスベット探しが勃発。
スウェーデン出身のアリシア・ヴィキャンデルが候補だった時期もあったり、ナタリー・ポートマンという話もあったり。
でも、前作が好評だっただけに、ここで引き継ぐ監督&キャストは相当のプレッシャーにさらされたでしょうね。
なかなか話が進まず。。。
遂に始動!という時には、だいぶ注目期は過ぎてしまいましたが、そんな中でフェデ・アルバレス監督とクレア・フォイは頑張ったと思います!
過去4作とは違うものを!という意気込みがこの「蜘蛛の巣を払う女」には感じられました。
2、今回はもっともエンタテインメント性が高い!
まず、寒々としたスウェーデンを舞台にした格調高い雰囲気も残しつつ、作品としてはわかりやすいエンタテインメント作品になっています。
もちろん、リスベットのキャラクター性と大枠の設定は知っておく必要があるので完全に1作品として成立しているかというとそこはやはり「続編」的ではあるのですが、前2シリーズにあった「陰気」さとは異なり、常に雪景色という湿度の高い世界を前にしつつもからっとした印象。
そもそも、本国版もフィンチャー版も非常に凄惨で痛々しいんですよね。。。
悪役側の繰り出す暴力が、ねちっこいいじめのような嫌らしさがあるのです。
これらはおそらく原作もそうなんだと思いますが、今回はそこまで陰気な暴力性がなかった印象。
わかりやすくドンパチしてくれる部分や、監督の前作で大ヒットした「ドント・ブリーズ」へのセルフオマージュともとれる遊びがあったり(え、そうですよね!?!?)。
↓↓“息をしたら、即死”「ドント・ブリーズ」おすすめです。面白いですよ!↓↓
リスベットの戦い方も、バイクチェイスあり、仲間との連携あり、技ありのハッキングあり、その場にあるもので戦い切り抜けるジェイソン・ボーン的見せ場あり、となかなかカラフル。
あとは、結構物語が複雑に描写されていたフィンチャー版などと異なり、登場人物も物語もシンプル。
予告編も含めある程度敵の存在が最初から提示されており、その最終対決に向けて蜘蛛の糸をほぐしていくような展開なので、実は非常に間口は広い作りだなーと思いました。
(だからこそ、リスベットのキャラ設定などもうちょっとちゃんと説明すれば初見さんでも見やすかったのになーというのはもったいないのかも)
もうこの辺はトレードオフというか、とがらせたいか広く攻めたいか狙いの問題ですね。
とすると、予告編の感じとかは前作を引きずっているので、ちょっとそこに乖離が起きちゃってるのかもしれませんね、、、
原作好きの方には評判は良くないかもしれませんが、それはそれとして私は割と楽しかったです!
3、リスベット役は、結局好みの問題!皆違って皆いい
そんな監督の趣向もあってか、クレア・フォイ版リスベットはとても逞しい!
健康的な体格なのもあって、ノオミ・ラパスとはちょっと違う男前感。
ここで3人のリスベットを比較すると、、、
★ノオミ・ラパス版リスベット・・・鋭利なナイフのように危険なオーラ溢れる強さ
ルーニー・マーラ版リスベット・・・可憐さも併せ持った、孤独な堕天使
クレア・フォイ版リスベット・・・過去を乗り越えた、頼れる姉貴的仕事人
正直ね、個人的にはルーニー・マーラのリスベットが最強だとは思うんですよ。
だけど、彼女がノオミ・ラパスに対してそうであったように、クレア・フォイもルーニー・マーラに対して同じキャラクターアプローチをしてもしょうがないわけです。
そんな中で、フェデ・アルバレス監督の魅力である「危険な題材もエンタテインメントとして魅せる」というポイントを考えたときに、この健康的なリスベット像というのはアリなのかなって思います。
4、〇〇の影が薄いのは正解!
で、このリスベットというキャラクターに対し、そこに張るサイズ感で今まで出てきていたのが、記者のミカエル。
彼女と共に事件解決に奮闘し、時に狙われ、そしてなんとも言えない距離感にある存在。
だけど、やっぱりこれだけ魅力的な女主人公がいるときに、話に関わる分量は多いものの割と凡人なミカエルというバディは正直ちょっと薄い存在だなーと個人的には思っていたわけです。
それは、ダニエル・クレイグを持ってしてもおなじ。
そこを今回は、予告編でもほとんど存在を消していたように、あくまでリスベットの物語にフォーカスさせるようにミカエルの関与ボリュームをかなり下げています。
これが良かった。
リスベットの前に登場する赤い服の女。
実の妹と対峙するリスベットの物語にちゃんと集中できました。
※余談ですが、ノオミ・ラパス版でミカエルを演じていたミカエル・ニクヴィストさん、お亡くなりなっていたんですね、、、なんと、、、ご冥福をお祈りいたします。
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そんなわけで、健康的なリスベットを主人公にエンタテインメント性高く描く、家族との、過去の自分との精算の物語となっている本作。
なかなか面白かったです。
相手の先を読んでいたつもりが、相手はそのさらに先まで読んでいて、、、というキレ者同士の人生を分かつ事になった辛い過去との決別の物語。
ちなみに、イケオジ俳優的見どころはリスベットの父親役のこの人!
ミカエル・パーシュブラントさん。
代表作は、「未来を生きる君たちへ」、「ホビット」シリーズ、「悪党に粛清を」など。
スウェーデン生まれ、189センチの長身のイケオジ俳優です。
ホビットシリーズのビヨルン役で初めて見てひとめぼれし、その後の「悪党に粛清を」でもあまりに格好良くて痺れました、、、
※余談ですが、この「悪党に粛清を」はマッツ・ミケルセン、ジェフリー・ディーン・モーガン、ミカエル・パーシュブラントというイケオジ俳優大集合で超おすすめです!
本作での出番は少しですが、是非注目してみてくださいね!
「蜘蛛の巣を払う女」は全国公開中♪
※画像は全てimdbより引用