2018年末、以前より制作についての噂はあった「インタラクティブ・ストーリー」映画の本気のやつがNETFLIXオリジナルにさらっと登場!
その名も「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」
まさかこのチャレンジングなギミックをブラックミラーシリーズで使ってくるかとは思いましたが、観終わってみるとブラックミラーに最適。
いやーーーーー、面白かったーーーー!!
どうやってもネタバレ無しでは語れないので、とりあえず未見の方は予告編を観て、NETFLIXに登録してまず見てみてほしい。
◆予告編◆
物語は、「バンダースナッチ」という著書のゲーム化に全情熱をささげる主人公が、そのゲームの著者が陥っていった“何者かに操られている”という感覚にどんどん浸食されていき・・・というもの。
インタラクティブ・ストーリーとして、いくつもの局面で視聴者がストーリーの展開を選ぶ事が出来るというのがこの作品のウリですが、そのギミックに溺れる事なく、物語に最高の没入感とメタ性を与え、サブスクリプション型の配信サービスだからこその映画の新しい形を提示して見せる事に成功しています。
一番最初に提示されるのが「朝食を選んで」というのは笑ったけど、そこからはもう離脱絶対無理!な吸引力。
こっちを選んでいたらどうなったの?
全部で何通りのルートがあるの?
一番不幸なルートはどんな結末が用意されてるの?
あそこの選択がここにつながっていたの!?
ゲームの世界では既にできていた、視聴者の「関与感」。
私たちがこのキャラクターの運命を握っているんだという感覚は、もの凄い中毒性!!
そして、一回BADルートを辿る事で得た「経験値」が活かされる「人生二回目」ルート。
そこではすこしづつ周りの反応も変わっていたり、1回目の選択がキャラクターの台詞に関係していたり、本当に細かい作り込みが凄い。
トム・クルーズ主演で日本のライトノベルを映画化した「オール・ユー・ニード・イズ・キル」の、「これまでの戦闘経験値の蓄積が一度死んで目覚めた後も引き継がれる」というゲームのプレイヤー側の持つ特性をメタ的に取り入れていた構成がもの凄く大好きだったのですが、その感覚にも近いものが。
そして、そんな視聴者の「操作欲」が満ちてきた所で、「僕、誰かに操られている気がする…」と言い出す主人公。
痛い所を突きますね!
何重にも入れ子のようになった、視聴者と、物語の中の「実験者」との共犯性。
題材の選び方、遊び方、この「インタラクティブ・ストーリー」の持つ可能性を提示するには十分すぎる素晴らしい構成。
これが出来たのは、映画が「劇場」だけでなく「サブスクリプション型の配信サービスで観る」という選択肢を得る事が出来たからに尽きる。
大人数で一緒に観る環境では絶対に無理。
VODの個別課金ではいくらに設定すればいいの?となって、恐らく凄く高い金額設定になっちゃいそう。
これは、サービス内での「滞在時間」を重視するNETFLIXだからこそできた事。
※最後、皆さんNETFLIXオチ観ましたか?
最高なので、「NETFLIX」という選択肢が出てきたら絶対に選んでください!
爆笑です。
正直、私はこのインタラクティブ・ストーリーというものに最初は懐疑的だったのだけど、この1作で観方が変わりました。
このスタイルが今後定着していくであろう中で、どういうジャンルが合うのか?どういう使い方がいいのか?何が変わるのか?考えるとワクワクします。
可能性しかない。
例えば、今回の作品の中でも暗唱番号を入力させる選択肢があったけど、サスペンス、ミステリーなどはこの手のギミックを活かしたら相当面白くなりそう。
そのうち、二択ではなく、映っている画の中の小道具とかにヒントや正解を隠して選ばせる事も出来るようになるんじゃないかな。
そうしたら、私もあなたもシャーロックになれるし、コナン君にもなれる。
恋愛ものだったら、デート先として選ぶ店、手をつなぐ?orキスする?などのアクションの選択、もしかしたら選ぶデート相手まで分岐要素になるかもしれない。
それによって、キラキラ恋愛物語になっても、泥沼ストーカー物語になっても、それはそれで面白いかも。
映画がどんどん仮想世界になっていくというか、何者かの人生を追体験するという映画の要素をどんどん拡張するものになっていくというか。
もちろん、映画館での体験は今まで通りでいい。
一つの物語を、まるで目の前で目撃するかのようなリアリティをもって感じる体験。
3D、4D、応援上映など、身体的な魅力をもったアトラクション性がどんどん拡大していくのでしょう。
ただ、また別の楽しみ方としてサブスクリプション型映画の存在する意義として、インタラクティブ・ストーリーは面白い存在になると思う。
ただ、量産するにはもう少し時間が必要なはず。
既にネット上だと全分岐チャートが出回っていたりするけれど、本当に鬼畜の所業としか思えない。
今回1時間ちょいぐらいでエンドにたどり着いた今回の作品でも、物語は1兆通りあるらしいです苦笑。
脚本家と編集、監督以外に、物語のルートを管理するプロジェクトマネージャー的な人の役割がかなり大きそう。
あとは役者さんにも今までとは違う種類の力が求められそう。
一本筋の通った演技プランを構築するタイプの力ではなく、素材として撮られていく様々な可能性を肯定して演じる事のできる人。
というか、それだけの撮影に耐える事の出来る胆力も相当必要。
どんな内容の選択肢をどのタイミングでどう設定すれば、視聴者が離脱する事なく物語に没入してくれるかを、データから、そしてひらめきから導きだす能力はどちらかというとゲームプロデューサー的なアタマが必要なんだろうか。
とにかく、新しい映画の可能性を感じさせる、中毒的な体験を是非!
全力でオススメします。
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※画像は全てimdbより引用