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「パルファム -香りに魅入られた悪魔-」(ネットフリックスオリジナル/海外ドラマ)感想 ~その香水は、世界一純粋で歪んだ欲望のために【おすすめ度:★★★★】

一説によると、人間の恋愛の相性は体臭レベルで決まっているんだとか。

残念ながら私は生まれつき鼻炎気味で、そんな予感めいた香りを嗅ぎ分けることもなく今に至ります(笑)

 

さて、NETFLIXで18年12月21日より配信開始となった「パルファム -香りに魅入られた悪魔-」を早速鑑賞!

パトリック・ジュースキントによる著作「香水 ある人殺しの物語」にオマージュをささげるような、この原作に端を発したリイマジネーション的な全6話のドラマシリーズです。

「香水 ある人殺しの物語」は古い作品ですが、アマゾンなどでもまだまだ売っていますね。

香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)

香水―ある人殺しの物語 (文春文庫)

 

 

2006年にトム・ティクヴァ監督がベン・ウィショー君主演で映画化しており、こちらでご存知の方も多いはず。

 

大好きなんですよね、この映画。

まだブレイク前のウィショー君の特徴的な鼻が印象的。

汚い18世紀のフランス・パリ、美しく甘美な少女の香り、そんな匂うはずの無い画の中の香りがこぼれてくるような、美しく生々しい映像と超展開の寓話性が秀逸です。 

 

「人間の香り」という異色のモチーフを扱った原作に忠実な映像化である映画版とは異なり、現代を舞台にまったく異なるストーリーで映像化したのが本作です。

 

★「パルファム -香りに魅入られた悪魔-」

 

◆予告編◆

www.youtube.com

 

◆あらすじ◆

女性の脇、局部、頭髪が切り取られるという猟奇的な殺人事件が発生。

その3つの部位に共通するのは、匂いの原点であるという事。

殺された女性は、あまたの男と寝ていたと噂の女性・カタリーナ。

担当する事になった女刑事・ナジャは、被害者の旧友で第一発見者・ローマン、その妻・エレナ、旧友ブッチェら、あるグループに疑いの目を向けるがー。

 

 

◆感想<ネタバレ有り>◆

ローマン・エレナ・ブッチェ・カタリーナらの関係を、過去と現在を交互に見せながら事件と“香り”の真相に迫っていく構成。

現在では、彼らを追いつつ検事との不倫で徐々にぼろぼろになっていく女刑事・ナジャの満たされない想いが描かれ、その「満たされない愛」という共通項で過去と現在、刑事と容疑者達の背景が繋がっていく様にゾクゾクします。

緑みがかった世界はどことなくドラマ版「ハンニバル」ぽくもあり、現代の話でありながら、原作&映画同様に寓話性を帯びているのがいい。

 

ドラマの中では、なんと原作小説と映画の映像も登場。

幼い頃の容疑者たちに「冷浸法」による匂いの抽出方法、そして“人間の香りを閉じ込める”という概念をもたらす原作。

「殺された飼い主の香りに引き寄せられるペットの犬」のシーンで、女刑事にひらめきを与える映画。

「愛を欲する者」がたどりついた“香り”という存在を印象付ける良いリンクになっています。

 

 

映画版と少し違って、この物語の中では“人間から採取し精製された香水”の存在は徐々にせりあがってくる構成で、その中でエレナの物語がとても重要な要素を秘めています。

唯一の家族に蔑まれ、男たちには手ひどい仕打ちをうけ、居場所のないエレナは、愛情たっぷりに育てられ幸せそうな少年にそこはかとなく恐ろしい視線を向けるのです。

そうして愛を求める純粋な少女が、自ら手を汚して手に入れた香水。

少年が行方不明となり憔悴するあの母親が、その香水をまとったエレナに気づき、振り返り、包み込んだ瞬間の、恐ろしさ、達成感、愛おしさ、哀しさ。

香水は恐ろしい存在でありながら、それを欲するものにとっては救済なんですよね…。

エレナ役の子役ちゃんの表情がめちゃくちゃ良かった。

映画版で主人公グルヌイユが迎えるファンタジックで末恐ろしい結末も非常にインパクトがありますが、形容しがたい表情で自身が唯一持つ「愛されたい」という欲望を達成するこのシーンには本当に魅入ってしまいました。必見。

 

そしてこの作品、ドイツの俳優の層の厚さを思い知らされます。

まずは女性陣。

主人公ナジャ役のフリーデリーケ・ベヒトさん。

童顔のマリオン・コティヤールという感じで、アンニュイで強さと脆さを感じさせるのが役にぴったり。

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第一発見者の妻・エレナ役のナタリア・ベリツキさん。

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続いて男性陣。

第一発見者ローマン役のケン・デュケンさん。

クリス・ヘムズワース+ニコライ=コスター・ワルドウ+ジェイク・ギレンホール、な感じでしょうか。ちょっとジャレット・レトも入ってるかも。

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娼館の主にして、優しさの滲むおいしい役・ブッチェ役のトリスタン・ピュッターさん。

マフィア役とかいろいろやってるんだろうと思われるような、優しいギャング感最高。

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不倫相手でなかなかのクソ男なのに離れられない、検事グリュンベルグ役のヴォータン・ヴィルケ・メーリングさん。

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みるからにヤバ気な調香師・モーリッツ役のアウグスト・ディールさん。

ちょっとタランティーノに似てる!と思ったら、「イングロリアス・バスターズ」に出てるっぽい。。どこだ。

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物語自体は、ある種猟奇的な事件の話なので苦手な人には受け入れられないかもしれません。

でも個人的には、こういった歪んだ愛情が引き起こす悲劇モノが結構好きで、本作は1シリーズかけてそれぞれの人物の愛情の歪んでいく様とその救済を描いているのでとても面白かった。

画も美しく、美男美女しかいない事が物語にさらに寓話性を与える面白いドラマ化でした。おすすめ。

 

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